地域医療の現場から

町立津南病院(新潟県)院長 林裕作 町立津南病院(新潟県)
院長 林裕作郎

町立津南病院(新潟県)院長 林裕作 町立津南病院(新潟県)
院長 林裕作
1.町立津南病院での医療
新潟県津南町は、新潟県の長野県境に位置し、人口約9千人弱の町です。65才以上の高齢化率は40%を超えており、全国で最も高齢化が進んでいる地域です。津南町には、開業医が2軒しかなく、それも一人の医師が2軒を兼務している状況です。そのため、津南病院には、開業医的な、かかりつけ医としての役割が期待されています。地域のホームドクターとして、住民の困りごとに対応する働きが求められています。外来診療、入院診療、在宅医療、予防医療が四本柱となっており、45床という小規模病院ですが、多機能な働きができます。

「津南町病院のスタッフと林先生」

津南町病院のスタッフと林先生

2. 地域医療の魅力
患者さんとの距離が近いことが一番の魅力ではないでしょうか?採れたての野菜をいただいたりすることもありますし、病院の廊下ですれ違っても、気軽に声をかけていただけます。また、患者さんの病気をみるだけでなく、家族関係や、介護の面など生活全般にも関わることができます。学校医、地元企業の産業医などの活動もあり、病院外で活躍する機会もあります。また、行政や保健・福祉関係の方々と一緒になって、地域の医療・介護の課題に取り組めます。地域のホームドクターとして、住民から頼りにされ、大変働きがいがあると思います。是非、セカンドキャリアとして、地域医療の魅力を体感していただければと思います。

また、林先生にさらにお伺いをさせていただきたく、質問にご回答をいただきました。

質問1.)
先生が東京から津南町にいらっしゃって20年が経つようでございますが、移住されようと思われたきっかけを教えていただけますでしょうか。また当時の医療環境、ご自身のご心境など振り返るといかがでしょうか。
林先生)
私は東京の大学病院で研鑽を積んだ後、妻の地元である津南病院に来て20年以上経ちました。大学では循環器(特に不整脈)診療に従事しておりましたが、当院に来てからは、一般内科で総合的に診療をしています。
夏の名物、約50万本の広大なひまわり畑

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質問2.)
日々、かかりつけ医としての役割や困りごとに対応される働きなど多岐に渡りお忙しくいらっしゃると思いますが、現状(またこれまでも)、先生のやりがいやモチベーションなどを教えていただけますでしょうか。
林先生)
当院では、外来診療だけではなく、その後、通院が困難になった際は、訪問診療を行っています。また病状が悪化した際は自院に入院していただき、主治医として診ることができます。外来から入院、在宅まで一貫してトータルで診療できる点がやりがいのある部分と考えます。
夏の名物、約50万本の広大なひまわり畑

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一面銀世界に覆われた津南町の冬景色

一面銀世界に覆われた津南町の冬景色

質問3.)
津南町をはじめ、特に地方では高齢化が進むなか医師不足の状況が伺えますが、これからセカンドキャリアや地域医療を考えている医師へのアドバイスをお願いできますでしょうか。
林先生)
地域をまるごとみるといった、全人的医療が中心になりますので、総合的に幅広く診療していただける医師が最適です。ただ、専門医などの資格をお持ちで専門分野を生かしながら、当院で総合的に診療していただくことで、幅を広げていただけることも可能と考えます。土日は基本的に休みですし、平日も17時15分以降は待機番や当直の医師にお願いしていますので、ご家庭での生活とか趣味の時間が確保しやすいと思います。いわゆる主治医だから夜間もコールがあることはありません。ワークライフバランスを充実させたい方や、自然に囲まれながら生活したいと考える方などが、当院に向いていると思います。
一面銀世界に覆われた津南町の冬景色

一面銀世界に覆われた津南町の冬景色

津南町のシンボル、日本一の河岸段丘

津南町のシンボル、日本一の河岸段丘

質問4.)
患者さんとの距離が近いエピソードなどをいただきましたが、改めまして最後に津南町の魅力を教えていただけますでしょうか。
林先生)
津南町は新潟県の南西部に位置し、長野県と境を接しています。自然豊かな環境(信濃川、苗場山)と安全でおいしい農産物(魚沼コシヒカリ、高原野菜)が津南町の魅力です。日本有数の豪雪地ですが、除雪体制がしっかりしておりますので、生活に支障が出ることはありません。銀白の雪景色、ウインタースポーツ、雪祭りなどの楽しみもあります。雪深い季節が終わり、春になった時の新緑の素晴らしさは、雪国に住んでみなければ味わえません。東京から、津南町までは新幹線を使用し、約2時間で行き来ができます。住民の方は、穏やかな方が多く、採れたての野菜などをお裾分けしていただけます。地域住民が医師を大切に、頼りにしていただけます。是非、自然豊かな津南町に来ていただければと思います。
津南町のシンボル、日本一の河岸段丘

津南町のシンボル、日本一の河岸段丘

以上となります。
林先生、お忙しいところご協力を賜り誠にありがとうございました。

~事務局からのお知らせ~
ご質問やご不明な点などございましたら、ご遠慮なく事務局までお問い合わせください。 併せて、セカンドキャリア・地域医療についての想いを執筆いただける先生がいらっしゃいましたら、事務局までご連絡をお願い申しあげます。

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